令和4年度天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会
ジェイテクトSTINGS
3
1
VC長野トライデンツ
1 藤中 優斗
3 陳 龍海
8 柳田 将洋
9 村山 豪
12 関田 誠大
14 西田 有志
L
17 本間 隆太
5 下川 諒
8 カルロス・アルベルト・アラウジョ
9 池田 幸太
15 波佐間 泰平
19 三輪 大将
20 ドニ・ハリョーノ
L
12 備 一真
2 金丸 晃大
4 福山 汰一
6 河東 祐大
7 柳澤 広平
10 ティネ・ウルナウト
11 袴谷 亮介
L
21 高橋 和幸
1 山田 航旗
3 池田 颯太
4 中野 竜
6 伊藤 樹
13 椿 芽久
16 森崎 健史
17 中村 啓人
――リーグ戦から状態はよくなっていると思います。
先週から西田選手が戻ってきてリズムが生まれたというか、攻撃のテンポがよくなったと僕自身は感じています。もちろん、理由はそれだけではありません。みんな練習しているので、チームとして機能してきたのかなと思います。
――第1セット、サイド中心からクイックにトスを切り替えました。きっかけがあったのですか?
先週のリーグ戦は(VC長野のブロックが)コミットで来ていたのですが、今日の同じ場面でクイックを使ってみたら相手がいなかったので、これはいけるんじゃないかと思いました。そこから積極的に使ってみたのがいい結果につながりました。
――明日はWD名古屋と対戦します。
ブロックがいいチームで非常に手強いとは思いますが、そこはいい意味で力を抜きながら、できるところまでやってみたいと思います。
――第1セットの後半からトスが集まりました。
関田選手が相手のブロックを見てトスを上げてくれているので、気持ちよく打てるシーンが多くありました。関田選手の判断がよく、自分も託されたトスを打ち切れたのでよかったです。
――サーブは緩急をつけていました。第2セットにはサービスエースも奪っています。
相手のミドル陣に取らせてストレスをかけ、クイックをなくすことを意識していました。後ろに下がっているなら前に落としてパイプ攻撃を消したり。そういうことを意識しながら打っていました。
――村山選手にとって天皇杯の位置付けは?
試合を多く重ねることで経験できる数も違ってくると思います。勝ちにこだわることは大事ですが、自分たちがやるべきバレーをしっかりとやり、それが勝ちにつながればいいと思っています。
ストーリーが描けるセッターだ。関田のことである。立ち上がりはサイドにトスを散らして得点を重ね、相手のマークが厳しくなるとクイックを多用して流れを変えた。決定力が高い西田にトスを集めて主導権を握り、最後は柳田に託して試合を締めくくった。失った第3セットは想定外だが、ほぼ想定通りの展開で試合を進めることができたのではないだろうか。関田に聞いた。
「今日はすごく自分たちのやりやすい展開に持っていけました。第3セットは取られたけど、それでもチャンスはあったし、そういう意味ではゲームを作りやすかった。西田選手と柳田選手が軸だと思っているので、今日はそこを中心に組み立てました」
関田のサーブがエアポケットのように、相手コートにポトリと落ちた。第1セットの先制点を奪った。その後も西田、柳田の得点で確実にサイドアウトを切っていく。スタートから入った藤中が難しいハイボールを決めると、さらにVC長野トライデンツのアラウジョをシャットアウト。8−7と逆転に成功した。
西田のスパイクが止められると、攻撃の柱をミドルブロッカーのクイックに切り替えた。13−14から6連続得点。躍動したのが村山だ。Bクイック、Cクイックと幅のある攻撃で相手のブロックを翻弄。さらに、2本のエースを奪うなど柳田がサーブで攻めた。VC長野はこの間に二度のタイムアウトを消化。柳田のパイプ攻撃、西田の軟打などで点差をキープしたまま試合を進めると、25−18で第1セットを制した。
第2セットも僅差のままゲームが進行した。西田が気を吐いた。レフトから角度のあるスパイクを決めて先制。その後も、要所で得点を重ねていく。12−13の場面ではサービスエースもあった。17−17の場面では柳田が1枚でVC長野のアラウジョを止めた。リリーフサーバーで入った袴谷が攻め、柳田の得点をお膳立て。柳田のサービスエースで23−20とリードを3点に広げる。最後は村山が相手の前にふわりとボールを落としてサービスエース。25−21で2セットを連取した。
第3セットは失ったが内容はそれほど悪くなかった。西田がこのセットだけで2本のサービスエースを奪ったのも明るい材料だ。バックライトから強烈なスパイクを決めるなど、完全復活を感じさせる活躍だった。しかし、最後は23−21から4連続失点で逆転負け。最大で6点のリードを覆される結果となった。西田のスパイクが立て続けに止められた。
立て直したのも、やはり西田だった。第4セット、レフトから強烈なスパイクをたたき込んだ。その後もセッターの関田は西田、柳田を中心に攻撃を組み立てていく。1点のリードでテクニカルタイムアウトを迎えると、シナリオのラストシーンは柳田が結んだ。12−12から柳田のサービスエースなどで4連続得点。柳田が後衛に下がると、藤中が勝負強さを発揮した。柳田がネット際でダイレクトスパイクをたたき込んでマッチポイント。最後は西田のサービスエースが決まり25−18。セットカウント3−1で勝利をつかんだ。
タフな一戦を制し、11日の準々決勝はWD名古屋と対戦する。リーグ戦で首位を走る強敵だが、唯一の黒星をつけているのがジェイテクトSTINGSだ。チャンスは必ずある。村山は「チャレンジャー精神を持って明日の試合に臨みたい」と言った。ここで勝てば、来年の1月7日から再開するリーグ戦に向けても大きな弾みになるはずだ。何より、天皇杯の制覇がぐっと近づいてくる。決して下を向くことなく、最後まで全力で戦いたい。
フェデリコ・ファジャーニ監督
――関田選手のトスワークについて聞かせてください。
相手チームは、うちのミドルブロッカーをそれほどアシストしていませんでした。そのため、そこから攻撃すればアタックが通るということは、関田選手にも伝えました。トスワークには満足していますが、残念なことに第3セットは6点のリードを逆転されてしまった。全体的に集中力が欠けており、そのような結果になったのだと思います。
――集中力の欠如以外に、どのような原因が考えられますか?
被ブロックが多かったです。被ブロックで点を与えると、相手の自信にもつながります。特に第3セットのVC長野は、途中からリリーフサーバーが入って我々にプレッシャーをかけてきました。相手にとって理想的な展開にしてしまいました。
――明日はWD名古屋と対戦します。
強い相手なので、非常に厳しい試合になると思います。しかし、もちろん我々もチームとして成長し続けなければいけません。ほぼメンバーがそろった状態で戦えるので、いい試合ができると思います。