第71回黒鷲旗全日本男女選抜大会
ジェイテクトSTINGS
3
1
東レアローズ
4 福山 汰一
6 河東 祐大
8 柳田 将洋
10 ティネ・ウルナウト
20 都築 仁
L
17 本間 隆太
5 米山 裕太
6 手塚 大
8 真子 康佑
15 李 博
17 小澤 宙輝
18 西本 圭吾
L
3 山口 拓海
1 藤中 優斗
2 金丸 晃大
3 陳 龍海
7 柳澤 広平
11 袴谷 亮介
18 道井 淳平
L
21 高橋 和幸
1 難波 尭弘
4 酒井 啓輔
7 峯村 雄大
10 重藤 トビアス 赳
16 上條 レイモンド
――第2セットの終盤が一つのターニングポイントになりました。
最後の2点ですね。セット終盤ということもあって、両サイドとパイプ攻撃を見ていたのですが、うまく止めることができました。2セットを取られたらまずいと思っていましたが、1−1だったら逆転もあると思っていたので勝ててよかったです。
――チームの雰囲気は?
悪くなかったです。一人ひとりが目の前の1点を頑張ろうという話をしていました。「俺が悪かった」「もうちょっとトスをこうして」といったコミュニケーションも取れていたので、雰囲気はよかったと思います。
――福山選手にとって黒鷲旗の位置付けは?
この大会で最後という選手もいるので、中途半端なことはやりたくないというのが僕の中にあります。引退するけど試合に出られない人もいるので、その前で中途半端なプレーはできません。コンディションを保たないといけないし、それだけのパフォーマンスを出す必要もあります。もちろん優勝できたらいいですけど、自分のパフォーマンスを最大限に出して、結果として引退する選手を後悔なく送り出せたらいいなと思います。
――試合を振り返って。
第1セットは相手の勢いにやられましたが、中盤からうまくサーブが入って攻めることができました。第2セットは「それを続けていこう」と声がけをして、そこから流れが自分たちの方に傾いてきた。やるべきことをやって、その結果、自分たちの勝利につながったと思います。
――ブロックとディグの関係がよかった。
大事なところで「仕掛ける」ことをやっていました。特に第2セットの終盤はシフトを敷いて、ブロックも仕掛けていた。それがうまく機能して、相手にプレッシャーをかけられたと思います。
――高橋選手にとってこの大会の位置付けは?
もちろん優勝を狙っています。出場機会をもらっているので、リーグ戦でできなかったことを積極的にやったり、システムを思い切って使っていくことも大事。あとは、声がけを常に意識しながらやっています。
――頂点まであと2試合です。
勝つことが大事だけど、それだけじゃなくてバレーボールを楽しみたい。お世話になった先輩方も引退されるので、自分たちのバレーをしっかり出して、勝ちに向かう気持ちを常に持ちながら最後まで戦いたいと思います。
分水嶺となったのは、1セットビハインドで迎えた第2セットの終盤だ。20−23。ここからドラマがはじまった。福山のクイックでサイドアウトを切った。サーブは都築。緩やかな弧を描いたボールがエンドラインいっぱいに落ちた。22−23。東レアローズがすかさず2回目のタイムアウトを取る。しかし、ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。ブロックでつないだボールをウルナウトが決めて同点に追いついた。なおも都築がサーブで攻める。相手を崩すと、福山のブロックが立て続けに決まった。怒涛の5連続得点で25−23。このセットを奪い返し、一気に流れをつかんだ。
「第2セットを落としていたら、選手を入れ替えることも考えていました。ただし、プレーが悪いからといって、すぐに代えることはありません。選手のことを信頼しないといけないし、特に若い選手には我慢してプレーを続けさせることが重要です。その証拠に、佐藤は試合が進むにつれて、本来の力を発揮するようになりました」
ファジャーニ監督は試合後にこう振り返った。続く第3セットも、サーブで攻めた。都築のブロックで先制。佐藤がクイックを決め、柳田のサービスエースでブレイクポイントを奪った。5−4から3連続得点。ウルナウトの返球が直接相手コートに落ちるなど、運も味方につけた。その後も都築、ウルナウトのスパイクでリードを広げていく。14−7とダブルスコアになったところで、東レは2回目のタイムアウトを要求した。
一時は4点差まで迫られたが、終盤は勢いを加速させた。佐藤のブロック、柳田の巧打で3連続得点。リリーフサーバーの袴谷も攻めた。都築が長いラリーを制してセットポイント。最後は柳田のバックアタックで25−17とし、セットカウント2−1と逆転に成功した。
第4セットはウルナウトの豪快なバックアタックで先手を取った。ウルナウトのブロックでブレイク。その後はサイドアウトの応酬が続いたが、都築が粘り強くスパイクを決めていった。気を吐いたのがウルナウトだ。強烈なサーブで得点を稼ぎ、9−6の場面では相手のスパイクをシャットアウト。10−6とリードを広げた。
佐藤のクイックで11−7。ここでリリーフサーバーの道井を投入するなど、ベンチは早くも勝負に出る。ここは1本で切られたが、その後もセッターの河東はバックアタックを絡めながら攻撃を組み立てた。柳田、都築が剛腕を発揮。柳田のパイプ攻撃で18−13、これで頭ひとつ抜け出した。
さらに佐藤のサービスエース、ウルナウトのブロックなどで3連続得点。その後は1点ずつ取り合う展開となり、福山のクイックでマッチポイントを奪った。最後は柳田のスパイクでフィニッシュ。セットカウント3−1で勝ち、明日の準決勝に駒を進めた。
第1セットは落としたものの、崖っぷちからの勝利はまさに天皇杯を彷彿させる。明日の準決勝は、何が鍵を握っているのか。福山はこう言った。
「第1セットの入りが大事だし、被ブロックをどれだけ減らせるか。また、(テクニカルタイムアウトの)12点までにみんながサーブを1回か2回は打つと思うけど、ミスを減らして相手を崩し、どれだけブレイクが取れるかも鍵になります。決して気が抜ける相手ではないけど、そこをしっかりやれたら1、2点はリードできると思う。そこからサーブでガンガン攻めるという形が作れたら、今日のような展開になると思います」
目の前の階段を一つひとつ上がっていったその先に、求めていた景色がある。頂点まであと2つ。ジェイテクトSTINGSが歩みを止めることはない。
フェデリコ・ファジャーニ監督
――勝因は何ですか?
トランジションからの攻撃を含め、ブレイクポイントがしっかり取れていました。試合の途中からはサーブも機能していたと思います。相手のハイボールに対して、ポジティブなタッチも取れていた。そこがポイントだったと思います。
――ブロックとディグの関係もよかったと思います。
その通りです。特に河東選手のブロックの位置取りがよかった。タッチがたくさん取れていたし、ブロックとディグの関係もよかったと思います。まだまだ課題はありますが、都築選手もブロックがよかったです。
――明日の準決勝はWD名古屋と対戦します。
もちろん自分たちのベストを尽くします。選手も疲労が溜まっていますが、ここまできたら戦術的なことや技術的なことだけでなく、とにかく自分が持っているエネルギーをすべて出すことが重要になります。